漫画『灰雪姫様へ』は無料で読める？あらすじや読む方法を徹底解説

レビューコメント

• 退廃的な美しさのある世界観が良いです!! セリフ等がすごく哲学的で、登場人物の心理状態の複雑さを感じます。 エッチは激しいというよりも、ねっとりとしたいやらしさがあり、無垢でありながらも淫らな少女、を開拓している感じで、何とも言えない背徳感があります!! 昼の2人はめちゃめちゃ清らかな感じなのに、スイッチ入ると空気が変わるのが大変エロい…
  
• 特筆すべき点は、急転直下する情緒、分かり合えなさ、暴力の再生産、絶妙に人を侮辱する言い回しです。 自らを虐げてきた人間を虐げることを夢とするネム。 リーゼを凌辱し「笑っていてね」とうっそりとした笑みを浮かべる姿に「それは都合が良すぎないか」と思いますが、その記憶は消されるためリーゼは覚えていません。 日常パートの二人は穏やかです。 美味しいものを分け合おうとし、互いを軽やかにフォローする思いやりが見られ、とても前向きで素敵な関係性に思えます。 傷付いたネムが回復していくかと思いきや不穏に思える描写が端々に散らされ、不安に思った途端に人間への嫌悪と憎悪が並べ立てられ、「とびきり怖い夢を見なさい」と落ちるように行為パートへと転換していきます。 人間と違って野蛮なことはしないと言いながらリーゼを物のように扱う話を名案であるかのように話すネムは「人外は思考から分かり合えないのでは」と思わされるほどの話の通じなさです。 それでもリーゼは「先生が怖いことを言うのが嫌なだけ」という言葉の通りネムが大好きなので、彼が出てくる怖い夢を見てもネムを求めます。 ド定番の「夢だと思って行為に至ったら両想いだと分かった」的展開に行くかと思えば、「はしたないこと」を深刻に捉えるリーゼと「性行為は支配と罰」であると断じる先生による凌辱を目的とした行為が始まります。 先生を「醜い」とも自分が「犯されている」とも言いたくないリーゼの内心を先生が汲み取れないこと、かつて酷い目に遭わされた先生に心を痛めるリーゼの無垢さ、暴力を内面化する先生のいたましさ、情緒も体もぐちゃぐちゃになるような行為、お互いを好きな理由や傷の捉え方の対比、出会いの残酷なほどの温度差、幸福に苦しみながらも幸せであろうとするところが醍醐味かと思います。 根深く多角的な暴力に翻弄されつつもひたむきで健気な印象を覚えるお話でした。 ありがとうございました。
  
• 加害者と被害者、復讐と献身の対比構造にありながら、哲学的な調子でストーリーが展開されます。読み応えのあるドラマに官能が必然性を持って組み込まれている。 エロ漫画としては、最序盤にあるフェラを嫌がるリーゼちゃんが良かった!ちんぽが嫌い!口に含みたくないと拒否してるヒロインの嫌悪顔!「好きな人の性器でも嫌」というのがポイント高い!!!愛があるんですよ、ここには既に。でもそれはそれとしてペニスなんか口に含みたくないわけ。フェラを嫌がるリーゼちゃんの膣に、その嫌な、酷いペニスを挿入するんだよ!なぜならば、本作におけるセックスは基本的に加害だからです。 夢魔のネム先生は人間に迫害され、警戒されながら生きてきた。医者として人間社会に溶け込み、ようやく療養期間を得ようとする……傷付いた彼の心身を癒すための行為とは、都合よく手元に転がり落ちてきた身寄りのない不幸な娘を夜な夜な嬲ること。 しかしながら、この子がネム先生を愛していたがため、加害が和姦めいてしまう。嬲ってる相手が大好きなネム先生を否定したくない(否定していいんだよ!でもリーゼちゃんは先生が好きだから……)と泣いたりすると、人間に対する復讐、その代替行為の性加害という図式が崩れる。 性行為は湿度ある台詞に陰気な暗さを持つのに、日向が似合うねと微笑んでしまうような2人でした。灰雪姫様へ、という御伽めいたタイトルに相応しい読後感で、不幸なものたちの、これからの幸福を願わずにいられません。灰色に汚されても、清く生きることを諦めず寄り添えたなら。そんな希望を感じました。